わたしは,OSや音楽プレイヤーソフト,さらに携帯プレイヤーにまで鎖につながれ,身動きも取れない音楽など,そのまま購入することはないだろう。そんなできそこないの音楽を売るなど,歴史の途中どころか,まだ始まってもいない状態だ。MP3tunesによって,やっと歴史の幕が開く。
quote:DRM(デジタル権利管理)のないオンライン音楽ストア,MP3tunesを開くマイケル・ロバートソン氏にインタビューした。「お金を得るためにオンライン音楽ストアを行うのではない。かなり規模が大きくなるまで利益は考えられず,たとえそうなっても利幅はかなり小さいだろう」「だがMP3形式を支持するのが,消費者にとってもっとも正しいことだ」「現在リナックスは,オンライン音楽ストアのほとんどから締め出されており,それがわたしたちがDRMを支持しない理由。現在のデジタル音楽ストアはレンタルショップに似ており,会社は音楽の使用方法を明確に決めている。あなた方は音楽を借りているだけで,所有してなどいない」「MP3tunesにはU2などがいない。だがMP3.comも最初は主要なレーベルのアーティストがいなかったが,権力者たちにひとつのチャンネルとして求められた」。
iTMS(iTunes ミュージックストア)の価格が,安いと思っている人たちがいることに驚かされる。ロバートソンの言葉を借りれば,iTMSなどのオンライン音楽ストアで入手した曲はレンタル品と同じで,100%自分のものになることはない。利用する手段が制限され,たとえばもし,iTunesが利用できなくなったら,いままで購入した曲は二度と聴くことができなくなる。そんなことありえないなどと云っている人間は,愚かに感じるほどの楽観主義者だ。そんなレンタル品だとしたら,1曲105円ほどを毎度支払わされる仕組みは,そんなに安価だろうか? 日本のツタヤなどでCDを1枚借りてくるのと比べて,iTMSの価格はどう感じるだろう?
ウインドウズOSを使用しているユーザーは,もしなにかの事情でウインドウズがさっぱり使えないOSになってしまったとき,iTMSで買った曲のために新品のマックを買うのだろうか? これからはリナックスを使っていこうと思ったとき,わざわざ曲のためだけにウインドウズかマックを使い続けるのだろうか? ネットワーク上で活動をするのであれば,できるだけ多くのOS上で動作するようにクライアントソフトを配布するのが当然だ(かつてのネットスケープのように)。それができないような会社は,ネットワーク上で存在価値がない(いちばんはMSだろうが)。自分のOSの土台として利用させてもらっているユニックスも無視し,ユーザーが多いリナックスも無視しているようなiTMSは,利用する価値がみつけられない。それが現時点の結論だ。(と思ったけど,iTMSの曲についてはDRM解除が簡単にできてるので,もぉどぉでもよい話だ,iTMSを支持しないのは変わらないが)
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